アップスキャンコンバーター (スケーラー)

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最終更新日 2024年9月27日

マスターシステムやメガドライブやサターンなど、水平同期周波数が15kHzで映像出力されているマシンをいまどきのPC用モニタに繋げて使用する場合、15kHzの信号を31kHz以上に変換(アップスキャン)する必要があります。そして、それをするユニットがアップスキャンコンバーター(スケーラー)なのです。つまり15kHzに対応しているモニタを使う際は、アップスキャンコンバーターは必要ありません。

ちなみにドリームキャストの場合、本体から31kHz出力されているようで、VGAボックスという周辺機器なりを使えばVGA対応のPCモニタに映せます。

現在売られているPCモニタのほとんどはVGA対応しています。

1.種類

民生品のアップスキャンコンバーター (スケーラー)の代表的な製品は以下の通りです。なお、液晶モニタを使用する場合は現行製品を選んだ方が無難です。

私見ですが、2024年5月時点では海外製品を選んだ方が賢いと思っています。

現行製品(4K未満)

海外製品

Marqs/videogameperfection.com : Open Source Scan Converter(OSSC) Ver.1.6/1.7/1.8

ラインダブラー方式の超低遅延コンバーターです。FRAMEMEISTERよりほとんどの点でとても大きく優れていますが、設定の複雑さと映像機器との互換性にやや難がありハードルは少し高めです。詳細は「Open Source Scan Converter(OSSC) Ver.1.6/1.7/1.8について」をご覧ください。

RetroTINK LLC : RetroTINK-2X Pro

RetroTINK-2X Classicの高性能バージョンです。コンポジット/S端子/480iのコンポーネント(D1)が入力できます。PAL-Mにも対応しています。詳細は「RetroTINK-2Xについて」をご覧ください。

RetroTINK LLC : RetroTINK-5X Pro (2021年5月1日(PST)発売)

下記RetroTINK-2X Pro/ Pro Multiformatのいいとこどりをした上で1080p出力対応したバージョンです。家庭用ゲーム機メインの人で後述するRetroTINK-4Kは高すぎると思う人はこれを第一に考えていいと思います。詳細は「RetroTINK-5Xについて」をご覧ください。

Marqs/videogameperfection.com : OSSC Pro (2023年11月15日発売)

OSSC Ver.1.6/1.7の後継機です。OSSC Proについて にまとめてあります。2022年6月末に先行発売された DExx-vd_isl についてもここに記載しています。

その他、業務用の裸基板ですがGBS-8200/GBS-8220は安価かつ、CFWで低遅延に、GBS-Controlで超高速解像度切り替えができるなど、各種カスタマイズすることでそれなりに高性能になります。基本各種情報を自分で調べてかつ、組み込みもできる方むけです。ただし、2021年1月に予約が始まったGBS-C AIO(Gonbes Control All In One)というGBS-Controlがパッケージ化された製品を購入しましたが、映像品質や使い勝手がOSSCやRetroTINK-5X Proと比べたときに一段落ちるのと全体的に作りが安くて強度的に問題があったため個人的にはお勧めしかねる製品でした。なおKVC lab.などで売っているAll in oneタイプのGBS-ControlはKVC lab.は上級者向け製品としておりますが、安価なので意味を理解した上でチャレンジするのは十分にありだと思います。

国内向け製品

マイコンソフト : XPC-4

こちらはPC向けです。

現行製品(4K以上)

4K(2160p)対応のスケーラーについてはこちらにまとめます。

まずいわゆるレトロゲーム機の4K出力化について以下3点の代表的な方法があります。それぞれにメリット・デメリットがあり、コスト面も含めて自分にとって適切なものを選べばいいと思います。4Kテレビに直接コンポジットビデオ接続するのは画質もよくなく、大きなラグが付加されることが多いためここでは選択肢には入れません。

  1. 外部スケーラーで1080pにしてから4Kテレビ/モニタの内部スケーラーで2160p化 (例.RT5XなどのFHD対応スケーラーで1080p化 → 4Kテレビ/モニタの内部でスケーリング)

    最も低コストですが、TV/モニタの性能に一番依存します。4K Gamer Proを試したときに、自分の手持ちのREGZA BM620Xは比較的そこが強いのか、映像品質的にも表示遅延的にも4K Gamer Proを使うメリットが薄かったというかラグ的には使わない方が良かったのですが、内部スケーリングで大きなラグがつくテレビ/モニタもあると聞いています(あくまで伝聞)。

    そもそも4Kテレビ/モニタでもパネルが複数解像度対応していて1080pソースは4Kソースと変わらないレベルの表示遅延である製品の方が主流なのかもしれません。通常仕様表には書かれないので、買って調べるまではわかりませんが……。

  2. 外部スケーラーで1080pにしてから4Kテレビ/モニタ外部で再スケールして2160p化 (例.RT5XなどのFHD対応スケーラーで1080p化 → 4K Gamer Proなりのビデオスケーラー使用)

    4KTV/モニタの内部スケーリング性能に依存しない上、低コストで低ラグを実現できるのがメリットです。Morph 4Kのデジタル入力のみのバージョンもこちらに含めていいでしょう。

  3. 4K対応スケーラーのみで2160p化 (例.RT4K/Morph 4Kなりにゲーム機を直接接続)

    4Kでの画質や低ラグのベストを求める場合や疑似ブラウン管フィルタなどの付加価値を求める人むけです。また、RT5XなどのFHD/WQHD用スケーラーを持っていない人にも向いてます。

色々試してみて、自分に合うものにすればよいでしょう。

海外製品

2023年後半に下記2機種の発売が開始されました。現状究極のスケーラーになりそうなRT4Kと、ずっと発売延期されていた Morphを4K対応させた上でRT4Kよりも大幅に安価に提供してきたMorph 4Kとはどうしても比較されるでしょうし、いま一番ホットなとこですね。

RetroTINK LLC : RetroTINK-4K (2023年12月9日(PST)発売)

RetroTINK-4Kについて にまとめてありますが、お高いだけのことはある良い製品です。

PixelFx : Morph 4K (2023年11月末本体のみ発売)

DCDigitalで実績があるPixelFxの汎用コンバーターです。RT4Kの発売予定がアナウンスされたタイミングでこちらも発表されました。まだ情報は少ないですが、Infinity Switch という入力用のモジュールを介することで、複数のゲーム機の癖のある入力信号ごとのプロファイルを自動選択できるようにするのは画期的なアイデアで、かつてなく運用しやすい製品になりそうな感じです。また、Infinity Switchを使わないのならRT4Kと比べてかなり安価なのが魅力ですね。画質やラグや付加要素についてはまだわかりませんが詳細情報の発表が楽しみです。

junkerhq.netに Morph 4K Wiki が出来ているので、そちらを見れば実装されている機能がある程度わかります。

旧機種

海外向け製品

2024年5月現在、RetroTINK-2X SCARTも現行機種ではありますが、長い間在庫切れのままなのでこちらに移動しておきます。RetroTINK-2Xシリーズについての詳細は「RetroTINK-2Xについて」をご覧ください。

RetroTINK LLC : RetroTINK-2X Classic (2020年2月1日に2X-Proが発売された関係で2Xから2X-Classicに名称変更されました)

こちらもラインダブラー方式の超低遅延コンバーターです。

RetroTINK LLC : RetroTINK-2X SCART

RetroTINK-2X Classicの入力端子がSCARTなバージョンです。2X-Proの利点が必要なく、かつアナログRGBな機器を別途トランスコーダを使わずに繋げたい場合はこちらを。

RetroTINK LLC : RetroTINK-2X Pro Multiformat

RetroTINK-2X Proに480p入力機能がついたバージョンです。ドリームキャストを480p接続したい場合や、全機種コンポジットビデオでの接続な人はこちらを。

国内向け製品

マイコンソフト : XRGB-1
マイコンソフト : DISPL
マイコンソフト : XRGB-2
マイコンソフト : XRGB-2 Plus
マイコンソフト : DISPL TV
マイコンソフト : XRGB-3

XRGB-3には低遅延で表示できる「ラインダブラー・モード」「デジタルトランスコーダー・モード」が実装されてます。液晶モニタによっては映らなかったり、映っても画面が乱れたりすることがあるようですが、対応しているモニタでは快適にゲームを楽しめるようです。

マイコンソフト : XRGB-mini FRAMEMEISTER

国内で長らくゲーム向けのNo.1コンバータとして活躍してきましたが製造はすでに終了していて、新品は店頭在庫のみです。解像度切り替えにめっぽう弱く、上記海外製品よりラグも大きい(※)上に高いです。アーケード基板用途のときは同期レベルの変更をしないと映らないケースが多々あるなどのデメリットが今となっては目立ちます。

※ フレームマイスターはプログレッシブ入力時は約1フレーム(16ms)、インターレース入力時は約2フレーム(32ms)ものラグがあります。OSSC/RetroTINK-2X/RAD2Xはプログレッシブ/インターレース入力ともに1msを大きく下回るラグしかなく、STG/ACTを遊ぶときにハッキリ差を感じます。

サンコー : RGB21-HDMI変換アダプタ RGBHDADP (リンクはInternet Archive内です)

HDMIからの音声出力が左右反転しています。ただし、ステレオミニジャックからの音声は反転していないようです。また、FRAMEMEISTERやOSSCに比べると遅延が大きく、画面も暗いので値段相応と割り切れるかどうかで評価は分かれるようです。

入力・出力ともに「D-Sub15PIN(2列)」と書いたところは、PC-98シリーズのディスプレイ出力にも使われていたアナログ15ピンですが、XRGB-1ではIBM PC/AT互換機に使われている「Mini D-sub15PIN(3列)」との変換ケーブルが入力・出力用に二つ付属しているので、おそらく問題ないと思います。

XRGB-1からXRGB-2になって最大の変更点は、アップスキャン(15kHz→31kHzの変換)をするときの色階調です。XRGB-1はRGB各色6bitでしたので、フルカラーのゲームでも、最大26万色に減色されていましたが、XRGB-2になって各色8bitになったので、アップスキャンした場合もフルカラー対応になりました(15kHz出力は元々対応してました)。

あと、XRGB-1からXRGB-2になって、FMタウンズ用モニタに公式には対応しなくなっていますので、注意してください。

XRGB、DISPLシリーズともに入力端子でのD-Sub15PIN端子はPCからの入力用であり、スルーされてアップスキャン用には使えないので注意してください。

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